リラックス法学部 > 判例集 >民法 売買の効力(560~578条)判例集
(他人の権利の売買における売主の義務)
第五百六十条
他人の権利を売買の目的としたときは、
売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
民法560条関連判例
・他人物の売買は目的物の所有者が、
初めからその物を譲渡する意思がなく、
売主が買主にその物を移転する事ができない場合でも、
有効に成立する。
(最判昭和25・10・26)
・他人の権利の売主が死亡し、その権利者がこれを相続しても、
相続前と同様その権利の移転につき諾否の
自由が有り、信義則に反するような特段の事情がない限り、
この売買契約上の売主としての履行義務を拒否する事ができる。
(最大昭和49・9・4)
(他人の権利の売買における売主の担保責任)
第五百六十一条
前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、
買主は、契約の解除をすることができる。
この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、
損害賠償の請求をすることができない。
(他人の権利の売買における善意の売主の解除権)
第五百六十二条
売主が契約の時においてその売却した権利が
自己に属しないことを知らなかった場合において、
その権利を取得して買主に移転することができないときは、
売主は、損害を賠償して、契約の解除をすることができる。
2 前項の場合において、
買主が契約の時においてその買い受けた権利が売主に属しないことを知っていたときは、
売主は、買主に対し、単にその売却した権利を移転することができない旨を通知して、
契約の解除をすることができる。
(権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任)
第五百六十三条 売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、
売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、
その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。
2 前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、
善意の買主は、契約の解除をすることができる。
3 代金減額の請求又は契約の解除は、善意の買主が損害賠償の請求をすることを妨げない。
第五百六十四条 前条の規定による権利は、買主が善意であったときは
事実を知った時から、悪意であったときは契約の時から、
それぞれ一年以内に行使しなければならない。
民法564条
・代金の減額請求は裁判外でしても効力が生じ、
訴えを提起しないで期間が経過しても
代金の返還請求権は消滅しない。
(大判昭和10・11・9)
(数量の不足又は物の一部滅失の場合における売主の担保責任)
第五百六十五条
前二条の規定は、数量を指示して売買をした物に不足がある場合又は
物の一部が契約の時に既に滅失していた場合において、
買主がその不足又は滅失を知らなかったときについて準用する。
(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
第五百六十六条
売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は
質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、
そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。
この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が
存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、
買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。
民法566条
・瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定が適用され、
消滅時効は買主が売買の目的物の引き渡しを受けた時から進行する。
(最判平13・11・27)
(果実の帰属及び代金の利息の支払)
第五百七十五条
まだ引き渡されていない売買の目的物が
果実を生じたときは、その果実は、売主に帰属する。
2 買主は、引渡しの日から、代金の利息を支払う義務を負う。
ただし、代金の支払について期限があるときは、
その期限が到来するまでは、利息を支払うことを要しない。
民法575条関連判例
・売主は、目的物の引き渡しを遅滞している場合でも、
引き渡しまでこれを使用し、果実を取得する事ができる。
買主は、遅滞にあるときでも、目的物の引き渡しを受けるまで
代金の利息を払う必要はない。
(大判大13・9・24)
(権利を失うおそれがある場合の買主による代金の支払の拒絶)
第五百七十六条
売買の目的について権利を主張する者があるために買主が
その買い受けた権利の全部又は一部を失うおそれがあるときは、
買主は、その危険の限度に応じて、代金の全部又は一部の支払を拒むことができる。
ただし、売主が相当の担保を供したときは、この限りでない。
民法576条関連判例
・賃借物に対する権利に基いて第三者から
明け渡しを請求された、不動産の賃借人は、それ以後、
賃料の支払いを拒絶することができる。
(最判昭和50・4・25)
(抵当権等の登記がある場合の買主による代金の支払の拒絶)
第五百七十七条 買い受けた不動産について抵当権の登記があるときは、
買主は、抵当権消滅請求の手続が終わるまで、その代金の支払を拒むことができる。
この場合において、売主は、買主に対し、
遅滞なく抵当権消滅請求をすべき旨を請求することができる。
2 前項の規定は、買い受けた不動産について
先取特権又は質権の登記がある場合について準用する。
(売主による代金の供託の請求)
第五百七十八条 前二条の場合においては、売主は、
買主に対して代金の供託を請求することができる。
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