民法101条1項は次のように規定しています。
意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又は
ある事情を知っていたこと若しくは
知らなかったことにつき過失があったことによって
影響を受けるべき場合には、
その事実の有無は、代理人について決するものとする。
これはどういうことかというと、
例えば、本人(依頼者)が
不動産の購入についての代理権を代理人に与え、
代理人が購入した物件に瑕疵
(通常の注意では発見できない欠陥)があった場合、
その物件の瑕疵について善意無過失であれば、
売主に瑕疵担保責任を追求できますが、
この「善意無過失」は
【代理人が善意無過失かどうか?】
という問題となるということです。
ですから代理人が瑕疵について
善意無過失であれば、
本人(依頼者)がその瑕疵を知っていた場合でも、
瑕疵担保責任を追求できるということになります。
ただし、注意が必要なのは、
民法101条2項です。
特定の法律行為をすることを
委託された場合において、
代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときは、
本人は、自ら知っていた事情について
代理人が知らなかったことを主張することができない。
本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。
「特定の法律行為をすることを委託」
した場合は、代理人が善意無過失であっても、
本人は自分は知っていた事情について、
「代理人は知らなかったんだから」
ということで瑕疵担保責任を
追及できないということになります。
1項と2項の違いが
ややこしいかもしれませんが、その違いは1項は
「目黒の駅から徒歩10分以内で○○円以内で
よさそうなマンション買ってきて」
といっただいたいの範囲、条件で依頼をしたような場合で、
2項は本人のお目当ての物件が決まっていて、
その物件の購入手続きを代理したような場合を
イメージしていただければと思います。
代理に関する詐欺、強迫について
代理人が詐欺、強迫によりした相手方の意思表示は、
本人(依頼者)が善意の場合でも、
相手方が取り消すことができます。
また本人(依頼者)の詐欺について、
代理人が善意の場合でも、
相手方は詐欺による意思表示を取り消すことができます。
(つまり詐欺師が、【詐欺だと知らない代理人】
を間に挟んで取り引きしても、相手方は詐欺による意思表示を
取り消すことができるというあたりまえの話です。)
まとめ
試験対策として、代理行為の瑕疵の有無は、
代理人について決する
ただし、特定の法律行為を委託した場合、
本人は代理人の善意無過失を主張することができない
(瑕疵担保責任の追及などはできない)
ということをおさえておきましょう。
(今、あなたが見ているこのページはリラックス法学部「試験対策要点まとめコーナー」です。)
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