国際運転免許証の偽造が私文書偽造罪とされた事例

(平成15年10月6日最高裁)

事件番号  平成14(あ)1164

 

この裁判では、

正規の国際運転免許証に酷似する文書を

その発給権限のない団体の名義で作成した行為が

私文書偽造罪に当たるかどうかについて裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

私文書偽造の本質は,文書の名義人と作成者との間の

人格の同一性を偽る点にあると解される。

 

本件についてこれをみるに,本件文書の記載内容,

性質などに照らすと,ジュネーブ条約に基づく

国際運転免許証の発給権限を有する団体により作成されているということが,

正に本件文書の社会的信用性を基礎付けるものといえるから,

本件文書の名義人は,

「ジュネーブ条約に基づく国際運転免許証の

発給権限を有する団体である国際旅行連盟」

であると解すべきである。

 

そうすると,国際旅行連盟が同条約に基づきその締約国等から

国際運転免許証の発給権限を与えられた事実はないのであるから,

所論のように,国際旅行連盟が実在の団体であり,

被告人に本件文書の作成を委託していたとの前提に立ったとしても,

被告人が国際旅行連盟の名称を用いて本件文書を作成する行為は,

文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を

偽るものであるといわねばならない

 

したがって,被告人に対し

有印私文書偽造罪の成立を認めた原判決の判断は,

正当である。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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