麻薬取締法違反(共犯と身分)

(昭和42年3月7日最高裁)

事件番号  昭和41(あ)1651

 

この裁判では、刑法65条2項にいう

「身分ニ因リ特ニ刑ノ軽重アルトキ」

について裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

麻薬取締法64条は、

同じように同法12条1項の規定に違反して

麻薬を輸入した者に対しても、

犯人が営利の目的をもっていたか否かという

犯人の特殊な状態の差異によって、

各犯人に科すべき刑に軽重の区別をしているものであって、

刑法65条2項にいう

「身分ニ因リ特ニ刑ノ軽重アルトキ」

に当るものと解するのが相当である。

 

そうすると、営利の目的をもつ者ともたない者とが、

共同して麻薬取締法12条1項の規定に違反して

麻薬を輸入した場合には、

刑法65条2項により、営利の目的をもつ者に対しては

麻薬取締法64条2項の刑を、営利の目的をもたない者に対しては

同条一項の刑を科すべきものといわなければならない。

 

しかるに原判決およびその是認する第一審判決は、

共犯者であるAが営利の目的を

もっているものであることを知っていただけで、

みずからは営利の目的をもつていなかった被告人に対して、

同条2項の罪の成立を認め、同条項の刑を科しているのであるから、

右判決には同条および刑法65条2項の解釈適用を誤った違法があり、

右違法は判決に影響を及ぼすものであって、

これを破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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