情報公開請求訴訟の主張立証責任

(平成26年7月14日最高裁)

事件番号  平成24(行ヒ)33

 

この裁判では、

情報公開請求訴訟の主張立証責任について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

情報公開法において,行政文書とは,

行政機関の職員が職務上作成し,

又は取得した文書,図画及び電磁的記録であって,

当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして,

当該行政機関が保有しているものをいうところ(2条2項本文),

行政文書の開示を請求する権利の内容は同法によって

具体的に定められたものであり,行政機関の長に対する

開示請求は当該行政機関が保有する行政文書を

その対象とするものとされ(3条),

当該行政機関が当該行政文書を保有していることが

その開示請求権の成立要件とされていることからすれば,

開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が

保有していないことを理由とする

不開示決定の取消訴訟においては,

その取消しを求める者が,当該不開示決定時に

当該行政機関が当該行政文書を保有していたことについて

主張立証責任を負うものと解するのが相当である。

 

そして,ある時点において

当該行政機関の職員が当該行政文書を作成し,

又は取得したことが立証された場合において,

不開示決定時においても当該行政機関が

当該行政文書を保有していたことを

直接立証することができないときに,

これを推認することができるか否かについては,

当該行政文書の内容や性質,その作成又は取得の経緯や

上記決定時までの期間,その保管の体制や状況等に応じて,

その可否を個別具体的に検討すべきものであり,特に,

他国との外交交渉の過程で作成される行政文書に関しては,

公にすることにより他国との信頼関係が損なわれるおそれ又は

他国との交渉上不利益を

被るおそれがあるもの(情報公開法5条3号参照)等につき,

その保管の体制や状況等が通常と異なる場合も

想定されることを踏まえて,

その可否の検討をすべきものというべきである。

 

これを本件についてみるに,前記1の開示請求において

本件交渉の過程で作成されたとされる本件各文書に関しては,

その開示請求の内容からうかがわれる

本件各文書の内容や性質及びその作成の経緯や

本件各決定時までに経過した年数に加え,

外務省及び財務省(中央省庁等改革前の大蔵省を含む。)における

その保管の体制や状況等に関する調査の結果など,

原審の適法に確定した諸事情の下においては,

本件交渉の過程で上記各省の職員によって

本件各文書が作成されたとしても,

なお本件各決定時においても上記各省によって

本件各文書が保有されていたことを

推認するには足りないものといわざるを得ず,

その他これを認めるに足りる事情もうかがわれない。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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