無効確認判決の第三者に対する効力
(昭和42年3月14日最高裁)
事件番号 昭和38(オ)431
この裁判では、
無効確認判決の第三者に対する効力について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
行政事件訴訟特例法(以下特例法という。)のもとにおいては、
行政処分取消判決は、当該訴訟の当事者に対して
効力を有するにとどまらず、
すべての第三者に対しても効力を有するものと解するのを相当とする。
けだし、特例法12条は、
「確定判決は、その事件について関係の行政庁を拘束する。」
と規定するにとどまり、行政処分取消判決は
第三者に対しても効力を有する旨の規定はないけれども、
行政上の法律関係はその性質上
画一的に規制されるべきものであることに徴すれば、
行政処分取消判決の形成力は
第三者に及ぶものと解すべきであるからである。
ところで、行政処分無効確認訴訟については、
特例法になんらの規定がないのであるが、
無効な行政処分によって権利を侵害されたと主張する者は、
現在の法律関係に関する訴の前提問題として
行政処分の無効を主張しうるにとどまらず、直接、
行政処分無効確認の訴を提起しうることが
判例上肯認されてきたのである。
その実質的理由は、期間の徒過等により
行政上の不服申立ならびに行政処分取消の訴の提起が
許されなくなったような場合であっても、
当該行政処分に重大かつ明白な瑕疵があるときは、
行政処分無効確認の訴を提起することによって、
行政処分取消の訴を提起した場合と
同様の救済を与えようとする趣旨であるから、
右行政処分無効確認判決の効力は、
行政処分取消判決の効力と同様に、
訴訟の当事者のみならず、
第三者に対する関係においても、
画一的に生ずるものと解しなければならない。
もし、行政処分無効確認判決の効力が
第三者に及ばないと解すべきものとすれば、
特例法のもとで行政処分取消の訴の一変形として
肯認されてきた行政処分無効確認の訴は、
著しくその機能を損ずることになるのであって、
この意味においても、行政処分無効確認判決は、
第三者に対しても、その効力を有するものと解するのが相当である。
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