リラックス法学部 >憲法判例>憲法判例 レペタ事件の概要と判例の趣旨をわかりやすく解説
レペタ事件(法廷メモ訴訟)
(最大判平成1年3月8日)
事件番号 昭和63(オ)436
アメリカ人弁護士のローレンス・レペタさんは
経済法の研究の一環として東京地裁で
とある裁判の公判を傍聴し、
その際に裁判長にメモの許可申請をしたところ
許可されませんでした。
そこでレペタさんはその不許可の措置は
憲法82条、21条に違反するものとして、
国に対し損害賠償を請求しました。
第二十一条 集会、結社及び言論、
出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
第八十二条 裁判の対審及び判決は、
公開法廷でこれを行ふ。
最高裁は
「憲法82条1項は、
裁判の公開を制度として保障しているが、
傍聴の自由ひいては筆記行為を
権利として保障していない」
としながら、
「筆記行為の自由は21条1項の規定の
精神に照らして尊重される」
として、
「傍聴人が法廷においてメモを取ることは、
その見聞する裁判を認識、記憶するためになされる
ものである限り、尊重に値し、
故なく妨げられてはならない」としました。
この判決は結論としては
裁判の傍聴人にメモを認めるものとなりましたが、
傍聴の目的につき、
憲法82条1項を根拠に権利を認めたものではなく、
また、筆記行為の自由は憲法21条1項により
直接保障されるものではないとしています。
筆記行為を制約するには厳格な基準は要求されず、
公正かつ円滑な訴訟の運営を
いささかでも妨げるおそれがある場合は、
法廷警察権の裁量により制限または
禁止できるものとしています。
ただし、メモを取る行為が公正かつ円滑な訴訟の運営を
妨げることは通常考えられず、特段の事情がない限り、
メモ行為を傍聴人の自由に任せるべきであり、
憲法21条の精神にも合致すると
最高裁も結論づけています。
ということで現在は法廷でのメモ行為は
基本的に自由とされています。
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