【憲法】公務員の人権、労働基本権を制約する法律、

公務員の政治活動の制限についての

試験対策の要点をまとめました。

行政書士試験レベルを想定していますが、

他試験にも共通する基本で重要なポイントですので、

他試験受験者の方も活用いただけると思います。

 

「特別権力関係論」は過去のもの

公務員の人権が制限される理由として、

「公務員は公権力と特殊な関係にあり、

一般の国民と異なる特別な人権制限が許される」

と考える「特別権力関係論」によって、

特別な人権制限が正当化されてきた時代もありましたが、

現在ではこの考え方は通用しないものとなっています。

 

公務員の労働基本権

公務員の人権の制約の根拠を

憲法15条2項の文言の

「公務員は全体の奉仕者」だから、

という考え方から、

全逓東京中郵事件(昭和41年10月26日最高裁判決)で

公務員も、一般の国民と同様に基本権が保障されるが、

何らの制約も許されない絶対的なものではないのであって、

職務の性質上、

国民生活全体の利益の保障という見地からの制約

当然の内在的制約として内包しているとしました。

 

全農林警職法事件(昭和48年4月25日最高裁判決)では、

公務員の争議権を一律全面的に禁止する

国家公務員法の規定が、

憲法28条に違反しないか争われましたが、

28条の労働基本権の保障は公務員にもおよび、

団結権等の労働基本権を

否定することはできないとしながらも、

公務員の地位の特殊性と職務の公共性を理由に、

やむを得ない限度の制限を加えることは、

十分合理的な理由があるとし、

公務員の労働基本権を制約する

国家公務員法98条5項、110条1項17号は、

憲法28条に反しないとしました。

 

公務員の政治活動

猿払事件(昭和49年11月6日最高裁判決)では、

郵便局員が職務時間外に

政党候補者のポスターの貼り付け行為などについて、

国家公務員法違反の罪に問われた事件ですが、

判例は、公務員の地位や職務の内容を問わず、

一律に一定の政治行為を禁止する

国家公務員法の規定を合憲としました。

 

憲法15条2項の

「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、

一部の奉仕者ではない。」

という規定を、公務員の政治活動を規制する

根拠としました。

 

「公務員の政治活動を刑罰によって

禁止する措置は、目的が正当であり、

禁止目的との間に合理的な関連性があり、

またこれにより得られる利益は失う利益よりも大きい」

ということで、公務員の政治活動を刑罰によって禁止する

国家公務員法102条1項、

人事院規則14-7第5項3号・6号13号は

憲法21条に違反しないとされました。

 

詳しくはこちらをご参照ください。

猿払事件

 

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