リラックス法学部 民法をわかりやすく解説 >即時取得とは?

 

今回は即時取得の概要と要件について

説明していきたいと思います。

 

我が国の民法は、不動産に関しては、

登記に公信力を認めず、

権利の外観を信頼しても保護されないとしています。

 

一方、取引が頻繁な動産に関しては、

占有を信頼して取引した者の保護の必要性が

大きいと考えられ、

動産には公信力が与えられています。

 

それが今回説明する、即時取得という制度です。

 

即時取得の概要

(即時取得)

第百九十二条  

取引行為によって、平穏に、かつ、

公然と動産の占有を始めた者は、

善意であり、かつ、過失がないときは、

即時にその動産について行使する権利を取得する。

 

平成16年改正前の192条には、

「取引行為によって」という文言はありませんでした。

 

 

しかし、「取引の安全を守る」

という制度趣旨から、

取引のない場合(他人の傘を間違って

持っていった場合など)にまで適用するのは、

よろしくないという事で、

判例・通説は取引行為に限るものとして

解釈していました。

 

そして、平成16年度の改正で、

それが明文化されたものとなっています。

 

即時取得は引渡しを伴う物権の移転により成立するので、

即時取得できる権利は所有権、質権となります。

(例外的に動産の先取特権も)

 

動産の賃借権を即時取得することは、

理論上可能ではありますが、

そこまで取引の安全を図る必要はないとして、

判例・学説ともに否定する立場をとっています。

 

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