自動車損害賠償保障法15条にいう「支払」と弁済供託
(平成7年4月25日最高裁)
事件番号 平成5(オ)843
この裁判では、
被害者の受領拒絶を理由とする
損害賠償債務についての弁済供託は、
自動車損害賠償保障法15条にいう「支払」に当たるかについて
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
自動車損害賠償保障法15条は、
自動車損害賠償責任保険の被保険者は被害者に
対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ
保険会社に対して保険金の支払を
請求することができる旨定めているが、
その趣旨は、交通事故の加害者である
被保険者が保険金を受け取りながら
これを被害者に対する損害賠償債務の履行に充てず、
被害者が現実に損害賠償を
受けることができない事態が生ずるのを
未然に防止し、もって被害者の保護を図ることにある。
右の趣旨に徴すれば、同条にいう「支払」とは、
被保険者の出捐によって損害賠償債務の全部又は
一部を消滅させ、これによって被害者に
現実の満足を与えるものをいうと解すべきである。
そして、被害者の受領拒絶を理由に被保険者が
損害賠償債務につき有効な弁済供託をした場合には、
右供託は、被保険者の出捐によって
損害賠償債務を消滅させるものであり、かつ、
被害者はいつでも供託金の還付を受けることが可能であって
被害者に現実の満足を与えるものということができるから、
同条にいう「支払」に当たると解するのが相当である。
・行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本
スポンサードリンク
関連記事