接見指定の内容

(平成12年6月13日最高裁)

事件番号  平成7(オ)105

 

この裁判では、

接見指定の内容について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

検察官、検察事務官又は司法警察職員(以下「捜査機関」という。)は、

弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により

弁護人となろうとする者(以下「弁護人等」という。)から

被疑者との接見又は書類若しくは

物の授受(以下「接見等」という。)の申出があったときは、

原則としていつでも接見等の機会を与えなければならないのであり、

刑訴法39条3項本文にいう「捜査のため必要があるとき」とは、

右接見等を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が

生ずる場合に限られる

 

そして、弁護人等から接見等の申出を受けた時に、

捜査機関が現に被疑者を取調べ中である場合や実況見分、

検証等に立ち会わせている場合、また、

間近い時に右取調べ等をする確実な予定があって、

弁護人等の申出に沿った接見等を認めたのでは、

右取調べ等が予定どおり開始できなくなるおそれがある場合などは、

原則として右にいう取調べの中断等により

捜査に顕著な支障が生ずる場合に当たると解すべきである

(前掲平成一一年三月二四日大法廷判決参照)。

 

右のように、弁護人等の申出に沿った接見等を認めたのでは

捜査に顕著な支障が生じるときは、捜査機関は、

弁護人等と協議の上、接見指定をすることができるのであるが、

その場合でも、その指定は、被疑者が防御の準備をする権利を

不当に制限するようなものであっては

ならないのであって(刑訴法39条3項ただし書)、

捜査機関は、弁護人等と協議してできる限り

速やかな接見等のための日時等を指定し、

被疑者が弁護人等と防御の準備をすることが

できるような措置を採らなければならないものと解すべきである。

 

とりわけ、弁護人を選任することができる者の

依頼により弁護人となろうとする者と

被疑者との逮捕直後の初回の接見は、

身体を拘束された被疑者にとっては、

弁護人の選任を目的とし、かつ、

今後捜査機関の取調べを受けるに当たっての助言を

得るための最初の機会であって、

直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ

抑留又は拘禁されないとする

憲法上の保障の出発点を成すものであるから、

これを速やかに行うことが

被疑者の防御の準備のために特に重要である。

 

したがって、右のような接見の申出を受けた捜査機関としては、

前記の接見指定の要件が具備された場合でも、その指定に当たっては、

弁護人となろうとする者と協議して、

即時又は近接した時点での接見を認めても

接見の時間を指定すれば捜査に顕著な支障が生じるのを避けることが

可能かどうかを検討し、これが可能なときは、

留置施設の管理運営上支障があるなど特段の事情のない限り、

犯罪事実の要旨の告知等被疑者の引致後

直ちに行うべきものとされている手続及び

それに引き続く指紋採取、

写真撮影等所要の手続を終えた後において、

たとい比較的短時間であっても、

時間を指定した上で即時又は近接した時点での

接見を認めるようにすべきであり、

このような場合に、被疑者の取調べを理由として

右時点での接見を拒否するような指定をし、

被疑者と弁護人となろうとする者との

初回の接見の機会を遅らせることは、

被疑者が防御の準備をする権利を

不当に制限するものといわなければならない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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