脅迫罪の成立
(昭和35年3月18日最高裁)
事件番号 昭和34(あ)1812
この裁判では、脅迫罪の成立について、
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
所論は要するに刑法222条の脅迫罪は同条所定の法益に対して
害悪を加うべきことを告知することによって成立し、
その害悪は一般に人を畏怖させるに
足る程度のものでなければならないところ、
本件二枚の葉書の各文面は、これを如何に解釈しても出火見舞にすぎず、
一般人が右葉書を受取っても放火される危険があると
畏怖の念を生ずることはないであらうから、
仮に右葉書が被告人によつて差出されたものであるとしても
被告人に脅迫罪の成立はない旨主張するけれども、
本件におけるが如く、二つの派の抗争が熾烈になっている時期に、
一方の派の中心人物宅に、現実に出火もないのに、
「出火御見舞申上げます、火の元に御用心」、
「出火御見舞申上げます、火の用心に御注意」
という趣旨の文面の葉書が舞込めば、
火をつけられるのではないかと畏怖するのが通常であるから、
右は一般に人を畏怖させるに足る性質のものであると解して、
本件被告人に脅迫罪の成立を認めた原審の判断は相当である。
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