複数人が共同して防衛行為としての暴行(共犯関係の終了)

(平成6年12月6日最高裁)

事件番号  平成2(あ)335

 

この裁判では、

複数人が共同して防衛行為としての暴行に及び侵害終了後に

なおも一部の者が暴行を続けた場合において

侵害終了後に暴行を加えていない者について

正当防衛が成立するかについて裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

本件のように、相手方の侵害に対し、

複数人が共同して防衛行為としての暴行に及び、

相手方からの侵害が終了した後に、

なおも一部の者が暴行を続けた場合において、

後の暴行を加えていない者について正当防衛の成否を検討するに当たっては、

侵害現在時と侵害終了後とに分けて考察するのが相当であり、

侵害現在時における暴行が正当防衛と認められる場合には、

侵害終了後の暴行については、侵害現在時における防衛行為としての

暴行の共同意思から離脱したかどうかではなく、

新たに共謀が成立したかどうかを検討すべきであって、

共謀の成立が認められるときに初めて、

侵害現在時及び侵害終了後の一連の行為を全体として考察し、

防衛行為としての相当性を検討すべきである。

 

被告人らの本件行為を、

EがGの髪を放すに至るまでの行為

(以下、これを「反撃行為」という。)と、

その後の行為(以下、これを「追撃行為」という。)

とに分けて考察すれば、被告人に関しては、

反撃行為については正当防衛が成立し、追撃行為については新たに暴行の共謀が

成立したとは認められないのであるから、

反撃行為と追行為とを一連一体のものとして総合評価する余地はなく、

被告人に関して、これらを一連一体のものと認めて、

共謀による傷害罪の成立を認め、

これが過剰防衛に当たるとした第一審判決を維持した原判決には

判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認があり、

これを破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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