関西精機事件(賃金全額払いの原則)
昭和31年11月2日最高裁
事件番号 昭和29(オ)353
Y社は、営業不振のため、会社が一時的に休業することになり、
従業員に対する給料の未払いの支払いに充てるため、
Y社の代表者の指示を受けて、従業員Xが
在庫品を売却したり、半製品の仕上げ販売を行いました。
そして、Y社が事業を再開する際、
Xは取締役に就任することになりました。
Y社は休業中の期間について、Xに対して1ヶ月につき、
7,000円の整理手当を支払う約束をしました。
ところが、Y社は、整理手当の一部と
取締役に就任した後の報酬の一部しか支払いませんでした。
Y社は、XがY社のために集金した額について、
そこから出張費等を控除した額を引き渡すべきところ、
盗難にあったことを理由に引き渡しておらず、
その額と相殺をしたと主張しました。
最高裁判所の見解
労働基準法24条1項は、賃金は原則として
その全額を支払わなければならない旨を規定し、
これによれば、賃金債権に対しては
損害賠償債権をもって相殺をすることも
許されないと解するのが相当である。
原審は、整理手当は賃金に外ならないと解せられるにかかわらず、
その金額を確定することなく、
漫然右債権の全額につき被上告会社の判示損害賠償債権による
相殺の意思表示を有効と認め、
これにより右債権は消滅したものと判断したのは、
法律の適用を誤った結果審理不尽理由不備の違法を
犯したものとなさざるをえない。
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