電電公社帯広電報電話局事件(就業規則と労働契約)

昭和61年3月13日最高裁

事件番号  昭和58(オ)1408

 

Y公社の職員Xは、頸肩腕症候群と診断されており、

Y社は労働組合との取り決めに基づき、

頸肩腕症候群総合精密検診の受診を命じましたが、

Xがこれに従わなかったので、Xを懲戒処分としました。

(Y公社の就業規則には、

「職員は、心身の故障により、療養、勤務軽減等の措置を受けたときは、

衛生管理者の指示に従うほか、所属長、医師及び

健康管理に従事する者の指示に従い、

健康の回復につとめなければならない。」

という規定がありました。)

 

Xはこの処分の無効確認を求めて訴えを提起しました。

 

最高裁判所の見解

就業規則が労働者に対し、一定の事項につき

使用者の業務命令に服従すべき旨を定めているときは、

そのような就業規則の規定内容が合理的なものであるかぎりにおいて

当該具体的労働契約の内容をなしているものということができる

 

公社と公社職員との間の労働関係は、

その事業のもつ社会性及び公益性から、

一般私企業と若干異なる規制を受けることは否定できないが、

基本的には一般私企業における使用者と従業員との関係と

その本質を異にするものではなく、

私法上のものということができ、また、

公社就業規則の目的及び性質も私企業におけるそれと

異なるところはないというべきであるから、

前述した業務命令の根拠及び

その範囲に関する考え方は、公社と公社職員との関係においても

あてはまると解すべきである。

 

Y公社就業規則及び健康管理規程によれば、

Y公社においては、職員は常に健康の保持増進に努める義務があるとともに、

健康管理上必要な事項に関する健康管理従事者の指示を

誠実に遵守する義務があるばかりか、

要管理者は、健康回復に努める義務があり、

その健康回復を目的とする健康管理従事者の指示に従う義務があることと

されているのであるが、以上公社就業規則及び健康管理規程の内容は、

公社職員が労働契約上その労働力の処分を公社に委ねている趣旨に照らし、

いずれも合理的なものというべきであるから、

右の職員の健康管理上の義務は、

公社と公社職員との間の労働契約の内容となつているものというべきである。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

 

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