(昭和19年8月24日大阪高裁)
地縁団体・甲は定時総会で自治会費を
2,000円増額し、その全額を赤い羽根共同募金に
寄付する旨の決定をしたことについて、
ここの住民のXは、本来任意で行われる寄付を強制するのは
思想信条の自由を侵害する無効なものとして争いました。
大阪高等裁判所の見解
募金及び寄付金は、本来これを受け取る団体等や
その使途いかんを問わず、
すべて任意で行われるべきものであり、
何人もこれは強制されるべきものではないとして、
これが事実上強制される場合は、
思想、信条の自由の侵害の問題が生じうるとしました。
思想、信条の自由を規定する憲法19条は、
私人間の問題に当然に適用するものとは解されないが、
事実上の態様等からして、
これが社会的に許容される限度を超えるものであるときは、
思想、信条の自由を侵害するものとして、
民法90条の公序良俗違反として、
その効力を否定されるべき場合があるとしました。
本件の地縁団体は強制加入ではないものの、
対象区域内の全世帯の約88.6%が加入する団体であり、
会員の脱会の自由が事実上強制されているものと
言わざるを得ないとして、
本件決議に基づく増額会費名目の募金及び寄付金の徴収は、
一律に事実上の強制をもってなされるものであり、
その強制は社会的に許容される限度を超えるものであり、
本件決議はXらの思想、信条の自由を侵害するものとして、
公序良俗に反し無効としました。
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