指定確認検査機関の確認

(平成17年6月24日最高裁)

事件番号  平成16(行フ)7

 

この裁判では、

指定確認検査機関の確認に係る建築物について

確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体は,

指定確認検査機関の当該確認につき行政事件訴訟法21条1項所定の

「当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体」について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

建築基準法は,建築物の計画が建築基準関係規定に

適合するものであることについて,

指定確認検査機関の確認を受け,確認済証の交付を受けたときは,

当該確認は建築主事の確認と,当該確認済証は

建築主事の確認済証とみなす旨定めている(6条の2第1項)。

 

また,同法は,指定確認検査機関が確認済証の交付をしたときは

その旨を特定行政庁(建築主事を置く市町村の区域については

当該市町村の長をいう。2条32号)に報告しなければならない旨定めた

(6条の2第3項)上で,特定行政庁は,

この報告を受けた場合において,指定確認検査機関の

確認済証の交付を受けた建築物の計画が

建築基準関係規定に適合しないと認めるときは,

当該建築物の建築主及び当該確認済証を交付した指定確認検査機関に

その旨を通知しなければならず,この場合において,

当該確認済証はその効力を失う旨定めて(同条4項),

特定行政庁に対し,指定確認検査機関の確認を

是正する権限を付与している。

 

以上の建築基準法の定めからすると,同法は,

建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることについての

確認に関する事務を地方公共団体の事務とする前提に立った上で,

指定確認検査機関をして,上記の確認に関する事務を

特定行政庁の監督下において行わせることとしたということができる。

 

そうすると,指定確認検査機関による確認に関する事務は,

建築主事による確認に関する事務の場合と同様に,

地方公共団体の事務であり,その事務の帰属する行政主体は,

当該確認に係る建築物について確認をする権限を有する

建築主事が置かれた地方公共団体であると解するのが相当である。

 

したがって,指定確認検査機関の確認に係る建築物について

確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体は,

指定確認検査機関の当該確認につき行政事件訴訟法21条1項所定の

「当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体」

に当たるというべきであって,抗告人は,

本件確認に係る事務の帰属する公共団体に当たるということができる

 

また,本件会社は本件確認を抗告人の長である

特定行政庁の監督下において行ったものであること,

その他本件の事情の下においては,

本件確認の取消請求を抗告人に対する

損害賠償請求に変更することが相当であると認めることができる。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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