債権譲渡における債務者の異議をとどめない承諾の効力
(昭和42年10月27日最高裁)
事件番号 昭和42(オ)186
この裁判では、
債権譲渡における債務者の異議をとどめない承諾の効力について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
請負契約は、報酬の支払いと仕事の完成とが対価関係に立つ諾成、
双務契約であって、請負人の有する報酬請求権は
その仕事完成引渡と同時履行の関係に立ち、
かつ仕事完成義務の不履行を事由とする請負契約の解除により
消滅するものであるから、右報酬請求権が
第三者に譲渡され対抗要件をそなえた後に請負人の
仕事完成義務不履行が生じこれに基づき
請負契約が解除された場合においても、
右債権譲渡前すでに反対給付義務が発生している以上、
債権譲渡時すでに契約解除を
生ずるに至るべき原因が存在していたものというべきである。
従って、このような場合には、債務者は、
右債権譲渡について異議をとどめない承諾をすれば、
右契約解除をもって報酬請求権の譲受人に対抗することができないが、
しかし、債務者が異議をとどめない承諾をしても、
譲受人において右債権が未完成仕事部分に関する
請負報酬請求権であることを知っていた場合には債務者は、
譲受人に契約解除をもって対抗することができるものと解すべきである。
けだし、民法468条1項本文が指名債権の譲渡につき
債務者の異議をとどめない承諾に抗弁喪失の効果をみとめているのは、
債権譲受人の利益を保護し一般債権取引の安全を保障するため法律が
附与した法律上の効果と解すべきであって、
悪意の譲受人に対してはこのような
保護を与えることを要しないというべきだからである。
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