意見ないし論評の表明と名誉毀損

(平成9年9月9日最高裁)

事件番号  平成6(オ)978

 

この裁判では、

意見ないし論評の表明と名誉毀損について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

ある事実を基礎としての意見ないし

論評の表明による名誉毀損にあっては、

その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、

その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、

右意見ないし論評の前提としている事実が

重要な部分について真実であることの証明があったときには、

人身攻撃に及ぶなど意見ないし

論評としての域を逸脱したものでない限り、

右行為は違法性を欠くものというべきである。

 

そして、仮に右意見ないし論評の前提としている事実が

真実であることの証明がないときにも、

事実を摘示しての名誉毀損における場合と対比すると、

行為者において右事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば、

その故意又は過失は否定されると解するのが相当である。

 

新聞記事中の名誉毀損の成否が問題となっている部分について、

そこに用いられている語のみを通常の意味に従って理解した場合には、

証拠等をもってその存否を決することが

可能な他人に関する特定の事項を主張しているものと

直ちに解せないときにも、当該部分の前後の文脈や、

記事の公表当時に一般の読者が有していた知識ないし経験等を考慮し、

右部分が、修辞上の誇張ないし強調を行うか、

比喩的表現方法を用いるか、又は第三者からの

伝聞内容の紹介や推論の形式を採用するなどによりつつ、

間接的ないしえん曲に前期事項を主張するものと理解されるならば、

同部分は、事実を摘示するものと見るのが相当である。

 

また、右のような間接的な言及は欠けるにせよ、

当該部分の前後の文脈等の事情を総合的に考慮すると、

当該部分の叙述の前提として前記事項を

黙示的に主張するものと理解されるならば、

同部分は、やはり、

事実を摘示するものと見るのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例コーナートップへ

民法初学者の部屋


行政書士試験にわずか147日で合格した勉強法

行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本


スポンサードリンク

関連記事