指名債権の二重譲渡と優劣の基準

(昭和49年3月7日最高裁)

事件番号  昭和47(オ)596

 

 

 

最高裁判所の見解

民法467条1項が、債権譲渡につき、

債務者の承諾と並んで債務者に対する譲渡の通知をもって、

債務者のみならず債務者以外の第三者に対する関係に

おいても対抗要件としたのは、債権を譲り受けようとする第三者は、

先ず債務者に対し債権の存否ないしは

その帰属を確かめ、債務者は、

当該債権が既に譲渡されていたとしても、

譲渡の通知を受けないか又はその承諾をしていないかぎり、

第三者に対し債権の帰属に

変動のないことを表示するのが通常であり、

第三者はかかる債務者の表示を信頼して

その債権を譲り受けることがあるという

事情の存することによるものである。

 

このように、民法の規定する債権譲渡についての対抗要件制度は、

当該債権の債務者の債権譲渡の有無についての認識を通じ、

右債務者によってそれが第三者に表示されうるものであることを

根幹として成立しているものというべきである。

 

そして、同条二項が、右通知又は

承諾が第三者に対する対抗要件たり得るためには、

確定日附ある証書をもってすることを必要としている趣旨は、

債務者が第三者に対し債権譲渡のないことを表示したため、

第三者がこれに信頼してその債権を譲り受けたのちに

譲渡人たる旧債権者が、債権を他に

二重に譲渡し債務者と通謀して

譲渡の通知又はその承諾のあった日時を遡らしめる等作為して、

右第三者の権利を害するに至ることを

可及的に防止することにあるものと解すべきであるから、

前示のような同条一項所定の債権譲渡についての

対抗要件制度の構造になんらの

変更を加えるものではないのである。

 

右のような民法467条の対抗要件制度の構造に鑑みれば、

債権が二重に譲渡された場合、譲受人相互の間の優劣は、

通知又は承諾に付された確定日附の

先後によって定めるべきではなく、

確定日附のある通知が債務者に到達した日時又は

確定日附のある債務者の

承諾の日時の先後によって決すべきであり、また、

確定日附は通知又は承諾そのものにつき

必要であると解すべきである。

 

そして、右の理は、債権の譲受人と同一債権に対し

仮差押命令の執行をした者との間の優劣を決する場合に

おいてもなんら異なるものではない。

 

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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