民法第110条の基本代理権が認められないとされた事例

(昭和35年2月19日最高裁)

事件番号  昭和32(オ)303

 

この裁判では、

民法第110条の基本代理権について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

本件において、民法110条を適用し、

上告人の保証契約上の責任を肯定するためには、

先ず、上告人の長男Dが上告人を代理して

少くともなんらかの法律行為をなす権限を

有していたことを判示しなければならない。

 

しかるに、原審がるる認定した事実のうち、

Dの代理権に関する部分は、上告人は、

勧誘外交員を使用して一般人を勧誘し金員の借入をしていた

訴外株式会社E本社の勧誘員となったが、

その勧誘行為は健康上自らこれをなさず、

事実上長男Dをして一切これに当らせて来た

という点だけであるにかかわらず、

原審は、Dの借入金勧誘行為はDが上告人から

与えられた代理権限に基きこれをなしたものであることは

明らかである旨判示しているのである。

 

しかしながら、勧誘それ自体は、論旨の指摘するごとく、

事実行為であって法律行為ではないのであるから、

他に特段の事由の認められないかぎり、

右事実をもって直ちにDが上告人を代理する権限を

有していたものということはできない筋合であって、

原判決は法令の解釈を誤ったか又は審理不尽理由不備の違法があり、

論旨は理由があるものといわなければならない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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