リラックス法学部 > 初学者の部屋 > 不動産の物権変動の対抗要件と不動産登記について解説

 

今回は不動産の物権変動の対抗要件について

説明いたしますが、

前提知識として必要な「不動産登記」

についてもあわせて説明したいと思います。

 

まずは民法177条をごらんください。

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条  

不動産に関する物権の得喪及び変更は、

不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)

その他の登記に関する法律の定めるところに従い

その登記をしなければ、

第三者に対抗することができない。

 

動産の物権変動の対抗要件は

「引渡し」でしたが、

不動産の物権変動の対抗要件は

「登記」ということです。

 

つまり、動産の場合は

「これはオレのだ!」という争いは、

先に引渡しを受けた方に

軍配が上がるというものでしたが、

不動産の場合、先に登記をした方に

軍配が上がるというものです。

 

つまり不動産の場合は、土地・建物の引渡しを受けて

実際にそこに住んでいても、登記を備えていなければ、

登記を備えた第三者に

「これ私の家なんですけど」

と言われたら負けてしまうということです。

 

では不動産登記とはどのようなシステムかといいますと、

まず不動産登記の目的は、

不動産物権変動の過程を「公示」することです。

 

不動産登記簿は「公示」されているので、

誰でも見ることができます。

 

不動産の管轄登記所(法務局)で、

登記簿を閲覧することができます。

 

(昔は登記簿というファイルでしたが、

今はデータ化されていて、

見たい不動産を指定して

A4サイズの紙にプリントアウトしたものを

もらえるというものです。)

 

不動産登記簿には表題部という部分に

建物の場合は

所在・家屋番号・種類・構造・床面積

土地の場合は

所在・地番・地目・地積

 

など、不動産がどこにあって、

どれぐらいのサイズなのか

という情報が記載されています。

 

「権利部」という項目には、その不動産の権利者が記載されます。

 

「甲区」という欄に所有権

「乙区」という欄に所有権以外の

権利(抵当権、地上権など)

が記載されています。

 

権利部の登記、

例えば所有権の登記を申請する際は、

現在所有権の欄に記載されている人物と、

新たに所有権を取得する人物が、

共同して申請することが必要です。

 

また、不動産を購入する際は、

金融機関などでローンを組んで

購入する場合が多いので、

所有権の移転登記と連続で、

金融機関の抵当権(借金のカタ)の登記を行います。

 

この登記申請は、添付書類

(売主が本当に権利者だと証明する書類や、本人確認の書類など)

がたくさんあって結構複雑です。

 

 

登記申請の専門家が司法書士です。

 

多くの場合、司法書士が

代わりに登記申請書を作成し、

添付書類の不備が無いか確認し、

登記申請の代理を行います。

 

ですので、住宅ローンで家を購入する際は、

金融機関の応接室などで、

売主(不動産屋)、買主、金融機関、司法書士で決済を行い、

書類に不備がないことを司法書士が確認し、

OKを出して決済を行い、司法書士が登記所に行って、

登記を申請するという具合になっています。

 

このようにして、

権利部の所有権の欄に名前が記載された者が

第三者に対抗できるということになります。

 

なお、登記は義務ではありません。

 

義務ではありませんが、

融資を受けて不動産を購入する場合、

金融機関が抵当権(借金のカタ)を設定する都合上、

ほぼ100%登記をします。

 

逆に登記しない場合とは、

おじいさんの代から住んでいる地方の家なんかでは

相続登記をせずに、

亡くなった方の名義のままになっているものが結構あります。

 

これも、その土地・建物を売る場合、

担保に入れて改築などを行う場合は、

前提としておじいさんから現在の所有者まで

相続登記を行ってから、

その上で、抵当権の設定の登記を行います。

(相続登記の場合も、

戸籍をたどって相続人を探して、

承諾もらってハンコもらったり

しなければならないので結構大変です。

詳しくは相続の解説の際にまた説明します。)

 

ということで、

不動産の物権変動の対抗要件と不動産登記について

イメージしていただけましたでしょうか?

 

今後も不動産登記については色々な場面で登場しますので、

徐々にイメージしていただければと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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