リラックス法学部 判例集 >民法 不動産に関する物権の変動の対抗要件(177条) 判例集

 

 

民法177条関連判例

・「相続させる」という趣旨の遺言による

不動産の権利の取得は、

登記なくしてその権利を第三者に対抗できる。

 (最判平14・6・10)

 

・共同相続の場合、

相続人の一人が単独所有取得の登記をなし、

これを第三者に譲渡して、所有権移転登記をしても、

他の相続人は自己の持ち分を登記なくして、

これに対抗する事ができる。

 (最判昭38・2・22)

 

・不動産に対する共有持分の遺産分割による

得喪変更についても本条が適用される。

遺産分割協議により、法定相続分と

異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記をしなければ、

分割後に当該不動産を取得した第三者に対し、

  自己の権利の取得を対抗することができない。

(最判昭46・1・26)

 

・相続放棄の効果は絶対的で、

何人に対しても、登記等なくして効力を生ずる。

(相続放棄をした相続人の債権者がした

相続財産の仮差押登記が無効とされた)

(最判昭42・1・20)

 

 ・第三者のなした登記後に時効が完成した場合

その第三者に対しては 登記なくして時効取得による

所有権の取得を対抗できる。

 (最判昭41・11・22)

 

  ・取得時効による不動産所有権の取得も、

登記をしなければ  時効完成後に

当該不動産を取得し登記を経由した

第三者に対しては、 その善意悪意を問わず、対抗できない。

(最判昭33・8・28)

 

 ・取得時効の完成の時期は、

必ず時効の基礎となる事実を開始した時を

起算点とするのであって、

 時効援用者が任意にこれを早めたり、

遅らせたりする事はできない。

(最判昭35・7・27)

 

・不動産が二重に売却された場合、

第二買主は登記の時に完全に所有権を取得するが、

 その所有権は、売主から第二買主に直接移転する。

 売主→第一買主、第一買主→第二買主と

移転するわけではない。

 第一買主は当初から全く所有権を

取得しなかった事になる。

 したがって、第一買主が当該不動産について

取得時効を主張する際の起算点は、

 第二買主の登記ではなく、第一買主の占有開始の時である。

(最判昭46・11・5)

 

 ・不動産の取得時効が完成したが

登記を経ることなく経過するうちに、当該不動産について第三者が

所有権移転登記を経由した場合、占有者は、この登記の日より

時効取得に必要な期間占有を継続した時は、

登記を経由しなくても、

この第三者に所有権を対抗する事ができる。

(最判昭36・7・20)

 

・不動産の共有者の一人が自分の持ち分を譲渡した場合、

譲受け人以外の他の共有者は本条のいう第三者にあたる。

(最判昭46・6・18)

 

・土地の賃借人として借地上に

登記ある建物を有する者は、その土地の得喪について、

本条の第三者にあたる。

(最判昭49・3・19)

 

・AからBへの不動産の遺贈による

所有権移転登記が未了の間に、 Aの相続人の一人の債権者が

当該不動産の相続分の差押えの申し立てをして、

その旨の登記がされた場合、

この債権者は本条の第三者にあたる。

(最判昭39・3・6)

 

・仮装売買の買主のように、

ある不動産について事実上所有権がなく、

登記簿上所有者として表示されているにすぎない者は、

実体上の所有権を取得した者に対して、

その登記の欠缺を主張することはできない。

(最判昭34・2・12)

 

・不動産の所有権がA→B→C→Dと移転した場合に、

登記名義がAのままであってもAはDの前所有者にすぎす、

この不動産につき正当な権利を有していないから、

本条の第三者には該当せず、

登記の欠缺を主張することはできない。

 (最判昭39・2・13)

 

 ・抵当権設定登記が抵当権の知らない間に

不法に抹消された場合には、

抵当権者は対抗力を喪失するものではないから、

登記上利害関係のある第三者に対しても

 回復登記手続につき承諾を与えるべき旨を請求できる。

 (最判昭36・6・16)

 

・登記簿上の所有権の名義人は、反証のない限り、

この不動産を所有するものと推定する。

(最判昭34・1・8)

 

 ・弁済によって消滅した抵当権の設定登記が残存している場合に、

 これをそのまま新たな抵当権のために

流用することはできない。

(大判昭6・8・7)

 

・仮装の売買契約に基づく所有権移転登記は無効だが、

その後に有効な売買により買主に所有権が移転した以後は、

この登記が現在の実体的権利状態と合致するに至るから、

買主は、この所有権の取得を

第三者に対抗することができる。

  (最判昭29・1・28)

 

・抵当権の登記が登記官吏の過誤により

不当に抹消されても  抵当権者は

その後に新たに抵当権を取得した第三者に対し、

  自己の抵当権を対抗できる。

(大連判大12・7・7)

 

・不動産の買主は、売主からの

所有権移転登記をせずに不動産を転売して

その所有権を喪失した場合でも、

自己の登記請求権を失わない。

 (大判大5・4・1)

 

  ・中間者の同意なしになされた中間省略登記であったとしても、

中間者は、この登記の抹消を請求するにつき

正当な利益がなければ、

その抹消を請求する事はできない。

(最判昭44・5・2)

 

・AからCへの中間省略登記の合意が

あったからといって、当然に中間者BのAに対する

移転登記請求権が失われるわけではない。

(最判昭46・11・30)

 

・立木法の適用のない立木につき、

同一所有者が数回の譲渡をしたときは、

立木所有権は最も先に公示方法を施した者に帰属する。

  (大判大10・4・14)

 

・他人所有の土地の上に建物を取得し、

自らの意思で登記をした者が、

土地所有者から建物収去・土地明渡しを求められた場合、

たとえ他の者に建物を

譲り渡していたとしても、引き続き登記を有する限り、

建物収去・土地明渡しの義務を免れることはできない。

(最判平6・2・8)

 

・土地上に権原なく存在する家屋の収去を求める場合は、

  現実にその家屋を所有し土地所有権を

侵害している者を相手方とするべきである。

 登記簿上譲渡し人の名義のままになっていても、 

この譲渡し人に収去を求める事はできない。

(最判昭35・6・17)

 

・建物の所有権名義人が実際には

その建物を所有したことがなく、

登記名義を有するにすぎない場合は、

土地所有者に対し建物収去・土地明け渡しの義務を負わない。

 (最判昭47・12・7)

 

・A→B→Cと順次に不動産の所有権が移転したのが、

登記名義は依然としてAにある場合、

所有者Cは登記名義人(A)および中間者(B)の

同意ある場合は別として、

甲に対して、直接自己への移転登記をするよう

請求する事は認められない。

(最判昭40・9・21)

 

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