地方公共団体の時効主張と信義則
(平成19年2月6日最高裁)
事件番号 平成18(行ヒ)136
この裁判では、
普通地方公共団体に対する
債権に関する消滅時効の主張が
信義則に反し許されないとされる場合について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
同規定が上記権利の時効消滅につき
当該普通地方公共団体による援用を要しないこととしたのは,
上記権利については,その性質上,法令に従い
適正かつ画一的にこれを処理することが,
当該普通地方公共団体の事務処理上の便宜及び
住民の平等的取扱いの理念(同法10条2項参照)に資することから,
時効援用の制度(民法145条)を適用する必要がないと
判断されたことによるものと解される。
このような趣旨にかんがみると,
普通地方公共団体に対する
債権に関する消滅時効の主張が
信義則に反し許されないとされる場合は,
極めて限定されるものというべきである。
本件のように,普通地方公共団体が,
上記のような基本的な義務に反して,
既に具体的な権利として発生している国民の重要な権利に関し,
法令に違反してその行使を積極的に妨げるような
一方的かつ統一的な取扱いをし,
その行使を著しく困難にさせた結果,
これを消滅時効にかからせたという
極めて例外的な場合においては,
上記のような便宜を与える基礎を欠くといわざるを得ず,また,
当該普通地方公共団体による時効の主張を許さないこととしても,
国民の平等的取扱いの理念に反するとは解されず,かつ,
その事務処理に格別の支障を与えるとも考え難い。
したがって,本件において,
上告人が上記規定を根拠に消滅時効を
主張することは許されないものというべきである。
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