中間省略の登記を求める請求の許否
(昭和40年9月21日最高裁)
事件番号 昭和39(オ)985
この裁判では、
中間省略の登記を求める請求の許否について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
実体的な権利変動の過程と異なる移転登記を請求する権利は、
当然には発生しないと解すべきであるから、
甲乙丙と順次に所有権が移転したのに登記名義は
依然として甲にあるような場合に、現に所有権を有する丙は、
甲に対し直接自己に移転登記すべき旨を請求することは
許されないというべきである。
ただし、中間省略登記をするについて登記名義人および
中間者の同意ある場合は別である。
(論旨引用の当裁判所判決は、すでに
中間省略登記が経由された後の問題に関するものであって、
事案を異にし本件には適切でない。)
本件においては、登記名義人の同意について
主張、立証がないというのであるから、
上告人の中間省略登記請求を棄却した原判決の判断は正当であって、
不動産登記法に違反するとの論旨は理由がない。
また、登記名義人や中間者の同意がない以上、
債権者代位権によつて先ず中間者への移転登記を訴求し、
その後中間者から現所有者への移転登記を履践しなければならないのは、
物権変動の経過をそのまま登記簿に反映させようとする
不動産登記法の建前に照らし当然のことであって、
中間省略登記こそが例外的な便法である。
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