弁論主義違反の違法

(昭和55年2月7日最高裁)

事件番号  昭和52(オ)1144

 

この裁判では、

弁論主義違反の違法について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

相続による特定財産の取得を主張する者は、

(1)被相続人の右財産所有が争われているときは

同人が生前その財産の所有権を取得した事実及び 

(2)自己が被相続人の死亡により同人の遺産を相続した

事実の二つを主張立証すれば足り、

(1)の事実が肯認される以上、

その後被相続人の死亡時まで同人につき

右財産の所有権喪失の原因となるような事実はなかったこと、

及び被相続人の特段の処分行為により右財産が

相続財産の範囲から逸出した事実もなかったことまで

主張立証する責任はなく、これら後者の事実は、

いずれも右相続人による財産の承継取得を

争う者において抗弁としてこれを主張立証すべきものである

 

これを本件についてみると、上告人らにおいて、

FがGから本件土地を買い受けてその所有権を取得し、

Fの死亡により上告人らがFの相続人として

これを共同相続したと主張したのに対し、被上告人は、

前記のとおり、右上告人らの所有権取得を争う理由としては、

単に右土地を買い受けたのはFではなくEであると

主張するにとどまっているのであるから

(このような主張は、Fの所有権取得の主張事実に対する

積極否認にすぎない。)、

原審が証拠調の結果Gから本件土地を買い受けて

その所有権を取得したのはFであってEではないと認定する以上、

上告人らがFの相続人としてその遺産を

共同相続したことに争いのない本件においては、

上告人らの請求は当然認容されてしかるべき筋合である。

 

しかるに、原審は、前記のとおり、

被上告人が原審の口頭弁論において抗弁として主張しない

EがFから本件土地の死因贈与を受けたとの事実を認定し、

したがって、上告人らは右土地の所有権を相続によって

取得することができないとしてその請求を排斥しているのであって、

右は明らかに弁論主義に違反するものといわなければならない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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