求償権行使懈怠違法確認等請求及び共同訴訟参加事件
(平成29年9月15日最高裁)
事件番号 平成28(行ヒ)33
この裁判では、
県が職員らの不正につき損害賠償金を
支払ったことにより取得した求償権の一部を
知事において行使しないことが
違法な怠る事実に当たるとはいえないとした原審の判断について
最高裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
本件不正は,教育審議監その他の
教員採用試験の事務に携わった県教委の職員らが,
現職の教員を含む者から依頼を受けて受験者の得点を
操作するなどして行われたものであったところ,
その態様は幹部職員が組織的に関与し,
一部は賄賂の授受を伴うなど悪質なものであり,
その結果も本来合格していたはずの多数の受験者が
不合格となるなど極めて重大であったものである。
そうすると,Aに対する本件返納命令や本件不正に関与した
その他の職員に対する退職手当の不支給は
正当なものであったということができ,
県が本件不正に関与した者に対して求償すべき金額から
本件返納額を当然に控除することはできない。
また,教員の選考に試験の総合点以外の要素を
加味すべきであるとの考え方に対して
県教委が確固とした方針を示してこなかったことや,
本件返納命令に基づく返納の実現が必ずしも
確実ではなかったこと等の原審が指摘する事情があったとしても,
このような抽象的な事情のみから直ちに,
過失相殺又は信義則により,県による
求償権の行使が制限されるということはできない。
したがって,上記の事情があることをもって
上記求償権のうち本件返納額に相当する部分を行使しないことが
違法な怠る事実に当たるとはいえないとした原審の判断には,
判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
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