リラックス法学部 憲法判例憲法判例 奈良県ため池条例事件の概要と判決の趣旨をわかりやすく解説

 

憲法判例 奈良県ため池条例事件

(最判昭和38年6月26日)

事件番号  昭和36(あ)2623

 

農民のXはため池の堤とうに

農作物を植えていましたが、

ため池の堤とうに農作物を植えることを

禁止する条例が施行されました。

 

この条例が施行された後もXは引き続き、

ため池に農作物を植え続け条例違反で起訴されました。

 

Xは、この条例は憲法29条に違反するとして争いました。

 

第二十九条  財産権は、これを侵してはならない。

 

2  財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、

法律でこれを定める。

 

3  私有財産は、正当な補償の下に、

これを公共のために用ひることができる。

 

29条2項では、

『法律』でこれを定める

とありますので、

「条例」で財産権を制限することが

認められるのかどうかが注目されました。

 

最高裁は、

「ため池の破壊、決壊の原因となる

ため池の堤とうの使用行為は、

憲法・民法の保護する適法な

財産権の行使のらち外にあり、

そのような行為を条例をもって

禁止、処罰しても、

憲法及び法律に抵触またはこれを

逸脱するものとはいえない」

として、条例による財産権の制限を

事実上肯定する形となりました。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

 

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