医師の不法行為の成否(生存の相当程度の可能性)
(平成12年9月22日最高裁)
事件番号 平成9(オ)42
この裁判では、
医師の不法行為の成否について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
疾病のため死亡した患者の診療に
当たった医師の医療行為が、
その過失により、当時の医療水準に
かなったものでなかった場合において、
右医療行為と患者の死亡との間の
因果関係の存在は証明されないけれども、
医療水準にかなった医療が行われていたならば患者が
その死亡の時点においてなお生存していた
相当程度の可能性の存在が証明されるときは、
医師は、患者に対し、不法行為による損害を
賠償する責任を負うものと解するのが相当である。
けだし、生命を維持することは
人にとって最も基本的な利益であって、
右の可能性は法によって保護されるべき利益であり、
医師が過失により医療水準に
かなった医療を行わないことによって
患者の法益が侵害されたものということができるからである。
原審は、以上と同旨の法解釈に基づいて、
F医師の不法行為の成立を認めた上、
その不法行為によってDが受けた精神的苦痛に対し
同医師の使用者たる上告人に
慰謝料支払の義務があるとしたものであって、
この原審の判断は正当として是認することができる。
・行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本
スポンサードリンク
関連記事