共同相続と登記

(昭和38年2月22日最高裁)

事件番号  昭和35(オ)1197

 

この裁判では、

共同相続と登記について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした

共同相続人中の乙ならびに乙から単独所有権移転の登記をうけた

第三取得者丙に対し、他の共同相続人甲は

自己の持分を登記なくして対抗しうるものと解すべきである。

 

けだし乙の登記は甲の持分に

関する限り無権利の登記であり、

登記に公信力なき結果丙も甲の持分に関する限り

その権利を取得するに由ないからである。

 

そして、この場合に甲が

その共有権に対する妨害排除として

登記を実体的権利に合致させるため乙、

丙に対し請求できるのは、各所有権取得登記の

全部抹消登記手続ではなくして、

甲の持分についてのみの

一部抹消(更正)登記手続でなければならない

 

けだし右各移転登記は乙の持分に

関する限り実体関係に符合しており、

また甲は自己の持分についてのみ

妨害排除の請求権を有するに過ぎないからである。

 

従って、本件において、共同相続人たる上告人らが、

本件各不動産につき単独所有権の移転登記をした

他の共同相続人であるDから売買予約による

所有権移転請求権保全の仮登記を経由した被上告人らに対し、

その登記の全部抹消登記手続を求めたのに対し、原判決が、

Dが有する持分九分の二についての仮登記に

更正登記手続を求める限度においてのみ認容したのは正当である。

 

また前示のとおりこの場合更正登記は実質において

一抹部抹消登記であるから、原判決は上告人らの

申立の範囲内でその分量的な一部を

認容したものに外ならないというべく、

従って当事者の申立てない事項について判決をした違法はないから、

所論は理由なく排斥を免れない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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